清野育成会剣道クラブ

2013年09月06日

人間形成への道

2012年の「甦れ日本!高校生アスリート作文コンテスト」で
優秀賞を受賞された
佐々木奈洋さんが宮古高等学校3年のときに書いた作文です。




私は剣道が大好きです。しかし、剣道の修業はとても過酷で厳しいものです。
そんな剣道を私が今まで続けることができたのは、
絶対に叶えたい目標があったからです。
そして目標に向かう中で
たくさんの人と出会い、一緒になり努力する仲間ができて、
そして人として成長したいという思いが生まれたからです。

私は小学校2年生の春、父の影響で剣道を始めました。
最初は毎日の練習が嫌で、ただ言われたことをこなしているだけでした。
それでも続けているうちに試合で勝てるようになり、
やりがいを感じて、中学生に入っても自然と剣道部に入部しました。

そこで出会った4人の仲間は、小学校からの付き合いで家も近所でした。
この仲間との絆なら県大会で勝てるかもしれないと、
私はどこかで感じていました。
私達の団結力は強く、2年生の秋の新人大会で団体初優勝しました。
次は中総体で全国大会へ行くことを目標としましたが
決勝で一本差で負け、目標を果たすことができませんでした。
目標を果たすことができなかった悔しさ、
何が足りなかったんんだろうという思いから、
私たちの次の目標が決まりました。

高校で全国大会に行くこと。
私が絶対に叶えたい目標とは、
みんなでインターハイに出場することでした。

高校に入学し、2年生になろうとしてしていた春、
春期講習の授業中に東日本大震災は起こりました。
学校前の川が凄まじい泥水で溢れ、
グランドを飲み込んでいくのを、
ただ呆然とベランダから見ていました。
夜になってもほとんどの生徒が帰ることができず、
十分な食事をとることのできない大変な状況でした。
強い余震が何度も起こり、町の電気も水道も止まり、
不安と焦りで混乱していました。

剣道部は部員の半分が家を無くし、
大切な人を失う仲間もいました。
3年生の先輩の最後となる高校総体前の出来事で
剣道どころの騒ぎではなく、
もうできないと絶望的な気持ちでした。

そんな中たくさんの方から支援を頂き、助けてもらい、
震災から1か月後に市内を握ることができました。
剣道ができる喜び、剣道ができる環境にあること、
日々の生活一つ一つが恵まれていたと強く感じました。

その年の3年生の先輩が、震災があった特別な年に
最後の高総体を迎えることができ、嬉しく思うという言葉を
残していきました。

先輩方、先生が果たせなかった夢を果たしたい。
支えてくれる人がいて、今の自分達がいる。
その人達の分も頑張らなければいけないという使命感。
そして、部員が少なくなっている今、
高総体優勝を狙えるのは
自分達が最後かもしれない。
色々な想いを背負って私達は
震災で味わった苦労、悲しみを力に変えることを決意しました。

震災を経て、私達は変わりました。
夏に肉体的にも精神的にも強くなろうと
一人一人が本気になり努力しました。
つらいことも仲間と目標のためなら
乗り越える越えることができました。
その結果、私達は秋の県新人大会で
三十八年ぶりに優勝、県選抜大会で初優勝、そして
高総体で四十一年ぶりに優勝し、
夢であったインターハイに出場することができました。

本気になって努力すれば夢は叶うと
身に染みて感じました。
何よりも先輩方、先生の夢を果たせたこと、
今までお世話になった方々に勝つことができたことが
嬉しかったです。

剣道に出会い、
師匠に出会い、
高校剣道で私の人生が変わりました。
私を変えた剣道部には、いくつかの心得があります。
剣道部の一番の目標は、
剣道の理念である

「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である。」

に基づき、人として成長し、立派な人間になることです。
私達は、礼儀を大切にし、所作を美しくすることを心がけました。
勝ちより何より剣道をするにあたり、

相手に感謝し、打って反省、打たれて感謝の心をいつも持ち続けるよう努めました。

そして、日々の生活を修業だと思い、
あいさつ、返事、行動を徹底して行い、
高校生の手本となるような生活を目指しました。
また、滅私奉公の精神で、
自分よりもまず他人のためという気持ちをいつも持ちました。
自分達の修業を兼ねて、学校のトイレを掃除し、
式典がある時は一日かけて最高のものを作るために会場を整えました。
これらのことを行っているうちに
自分で考え判断し、行動することができるようになり、
人から律せられるのではなく自律することができました。

剣道部で生活した一日一日が少しずつ私を成長させてくれました。
自分達がしてきたことは、剣道を学ぼうとする上で
日本一の修業だったという自信があります。

正しいことを正しくやろうとしたその自信が、
大事な場面や苦しい時に力となり、
成績を残すことにつながったのかもしれません。

これまで自己中心的な考え方しかできなかった私が、
剣道を始めたことで思いやりの心を持ち、
弱い自分を認める謙虚な気持ちになりました。
そして、強くなりたいと思うようになりました。
私はあきらめない気持ちと他人のことを一番に考え、
相手の気持ちで物事を考えられるようになったことが、
自分にとっての一番の成長だったと思います。
一生に一度の高校生活を剣道に捧げることができて
よかったと心から思います。

私は将来の夢であった福祉関係の仕事に就くために、
大学に行かせていただきます。
自分を認めてくれる指導者の下で、
更に成長できることが楽しみです。

私の次の目標は、高校時代できなかった
全国の舞台で活躍することです。
そして人として更に成長し立派な人間になりたいと思います。
社会に貢献できる人材になれるように、
大学でも修業に励んでいきます。

私は今まで剣道を続けてきて、剣道で道が開けました。
何より、高校剣道が私の人生を変え、大きく成長させて
くれたと思います。
今まで頂いた恩を、剣道修錬の心構えである、
国家社会を愛し、社会に寄与することで返したいと思います。

将来は地元に戻り、福祉関係の施設で働きたいです。
社会、そして日本、世界が平和でよりよくなるように、
自分でできることを尽くしていきます。

生涯スポーツと呼ばれ、人間形成としての剣道を
私はこれからも続けます。
人として成長し、立派な人間を目指したいと思います。





立派な素晴らしい作文ですね。

息子の高校の先生もいつもおしゃいます。

目的は「人格形成、人間力を高める」
目標は「全国で勝負をする」
そして
「人間的な成長なしに競技力の向上はない」

県のトップになるにはすべきことがたくさんありますね。  


Posted by myu at 08:30Comments(0)その他
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